第3回選考結果

応募多数の中から厳正な審査を行い、理事長賞、国際交流協会賞、優秀賞の各賞が決定しました。

審査結果は次のとおりです。

選考結果

賞名 タイトル 作者 所属
学長賞 ゲームと宗教 横地未空 岐阜県立多治見高校3年
理事長賞 Echoes on Paper: The Symphony of Cultures in Stamps 蒲原詩織 私立作新学院高校1年
国際交流協会賞 言葉をこえて~異文化体験が教えてくれたこと 大屋敷官明 徳島県立鳴門渦潮高校 2年
優秀賞








Taking a Step Closer 加藤里桜 Clear Lake High School 2年
異文化交流で大切なこと 永井理愛 さいたま市立大宮国際中等教育学校2年
異文化に生きる君に思いを馳せて 高附 望花 さいたま市立大宮国際中等教育学校3年
抹茶フラペチーノ 石丸璃音 私立仙台城南高校3年
繋がる 基島隆蔵 私立ラ・サール学園高校2年
ドイツ人と日本人:コミュニケーション 末吉真凰 私立AICJ高校2年
1つのきっかけと異文化理解 布川由珠 徳島県立城北高校3年
身近なところから始める異文化理解 岩佐優杏 徳島県立名西高校2年
身近なところから始める異文化理解 廣瀬詩月 徳島県立名西高校2年
※上記の情報は応募時のものです。

選評

コロナ禍の影響で世の中が内向きになりがちだったころに始まったこのエッセイ・コンテストは、今年で満3歳になります。世間への浸透度はまだまだですが、それでも少しずつ広まりつつあり、今年は全国各地からの応募がありました。ありがとうございました。

 本コンテストは「身近なところから始める異文化理解」という全体テーマがあるため、地域の国際交流や、学校での海外研修等での体験から得られたことを書かれたエッセイが今年も多かったようです。そのような傾向の中、入賞された上位3名の方のエッセイは、ご自分の趣味や生活の中の身近なところに目をつけながらも、そこからの深め方・広げ方に独自性がありました。

 最優秀賞にあたる学長賞には、岐阜県立多治見高校3年生の横地未空さんの「ゲームと宗教」が選ばれました。自称ゲームマニアの横地さんはゲームやアニメで宗教用語が安易に使用されている昨今の現象に目をつけ、宗教への関心が希薄な日本人に必要なのは、「宗教リテラシー」ではないかと問いかけています。宗教と生活が深く結びついている社会で生きる人々への向き合い方が重要であるという視点から発展し、パレスチナ問題をめぐる紛争にも結び付ける考察は、大変優れたものであると、高く評価いたしました。

 また、理事長賞を受賞された作新学院高校の蒲原詩織さんはご自分の趣味が切手収集であることから、切手を"window into diverse cultures"「多様な文化に導いてくれる窓口」として捉え、それぞれの切手の背景としてある文化的精神や歴史について丹念に調べられています。それらを1枚の紙から奏でられるシンフォニーとして耳を澄そうとする豊かな感性と、英語による滑らかな表現は秀逸であると思われました。

さらに国際交流協会賞には鳴門渦潮高校の大屋敷官明さんが受賞されました。ドイツを訪問された時の体験から、言語の違いはひとつの障壁ではあるが、大切なのは異なる文化を尊重する態度であることを感じ取られた大屋敷さんは、そのような考えに至った自らの原点が、お父様のふるさとである韓国の料理が並ぶ食卓にあったことを再認識されています。エッセイの導入部分と最後の箇所が重ね合わさるような構成になっていて、そこに工夫を感じました。

 そのほか9名の方が優秀賞に選ばれました。中国唐時代の詩人白居易に想いを馳せた清少納言を引き合いに、異文化理解とは時空間を超えて生きる人々に共感することであり、それは文学作品の中で行うことができるという高槻望花さんの作品、「抹茶フラペチーノ」という印象的なタイトルの石丸璃音さんの作品なども、読む人を引き込む力量を備えたものでした。ほかの優勝賞作品も含めいずれのエッセイからも、異文化を理解しようとする積極的で真摯な姿勢を感じました。 自分たちとは異なる文化を知ることは、私たちの社会や日本という国を知ることにつながります。他者に向き合おうとすることは自分自身を見つめなおすことでもあることを多くの方が感じ取っていらっしゃったように思います。

審査員  岩見 好敏(徳島県国際交流協会 常務理事 事務局長) 
阿部 曜子(四国大学 文学部長)             
 フェネリー・マーク(四国大学 文学部 国際文化学科 教授)
谷口 薫 (四国大学 文学部 国際文化学科 教授)    

Page Top